かつての日本では、味噌をはじめ醤油や酒も、木桶で作られていました。しかし時代の流れとともに、木桶よりも扱いやすいステンレスやホーローなどの桶に移行してゆき、今や木桶仕込みの味噌は全体の生産量の1%以下とも言われています。
木桶を使う蔵元が減少したこと、さらに作った木桶は100~150年という長い期間は使用できるため、一度注文が入ったら次の注文は数十年後以降ということもあり、木桶を作る桶屋自体も激減してしまいました。
世の中ではこのように木桶が減少し続けていますが、当社カクキューは、創業当時より八丁味噌の仕込み桶に木桶を使用し続けています。これは、八丁味噌は木桶でないと造れないからです。
木桶には、カクキューに長年受け継がれる微生物が棲みついており、カクキューらしい味わいを生み出してくれています。微生物は木の繊維に棲みつくため、ステンレスなどの桶では造れないのです。八丁味噌はいくつもの条件が重なって始めて生み出されますが、その重要な一つが木桶なのです。
木桶が生み出されるまでには当然桶職人が必要でありますが、木桶の材料を調達するには、植林から伐採までの100年単位の森林管理が必要です。さらに、材料加工の技術を受け継いでいる製材所がなければなりません。
このように、丹精込めて育てられた木材や、伝承された技術により作り出される木桶を活用し、消費・活用のサイクルを維持することが日本の文化を守ることになると考えています。
カクキューでは、伝統製法による八丁味噌を造り続け、日本文化の継承に微力ながら協力させて頂くため、毎年継続して木桶の購入を行っています。